嘔吐
嘔吐について

ものを吐いてしまう嘔吐にはさまざまな原因が存在する。肝臓や腎臓などの臓器の異常によるもの、脳などの中枢神経の異常によるもの、毛球や異物によるもの、そして胃腸の異常によるもの。
必ずしも病的なものばかりではなく、生理的嘔吐といって、食べたものに対する反応として体を守るために起きるおう吐もある。頑固な嘔吐は獣医師の診察を受けることが最善策であり、必要であれば血液検査やX線検査などを行なわなければならない。

膵炎はその炎症の激しさと全身への影響の大きさ、診断の難しさ、治療の困難さから、もっとも厄介な病気といえる。ふつう、急性すい炎は前兆も無く突然の嘔吐に始まり、頑固に持続する。症状はみるみる激しさを増し、食欲もなく、強い腹痛がおき、炎症の影響が全身に及んで時にはショックを起こし死に至ることも少なくない。
膵臓は胃から十二指腸にかけてはり付くように存在する細長い小さな臓器で、消化液を作っている。この消化液にはタンパク質や脂肪を分解する酵素が大量に含まれているため、膵臓は自分が作った消化液で膵臓自身が消化されないよう幾重にも防御システムを持っている。それが逆流などによって破綻し自己消化が始まると急性膵炎ということになる。
自己消化によって膵臓の一部が解けると消化液が周りに漏れ、周囲の組織へどんどん自己消化が広がり、膵臓の周囲の脂肪組織までもが消化され、局所的な腹膜炎が起き、全身に炎症が飛び火していくのである。
診断はレントゲン検査やエコー検査、血液検査などを総合して行なわれるが、最近ではTLIという特別な膵炎の指標も検査可能となっています。治療は絶飲食によって膵臓を休め、水分と電解質を補給しながら回復を待つしかないのである。
動物の嘔吐が頑固で、痛そうに背を丸めお腹をかばっているようなら、膵炎の可能性も想定するべきである。

胃腸炎の代表のひとつに「炎症性腸疾患(IBD)」がある。これは「自己免疫疾患」のひとつとも言え、免疫に関わるリンパ球や形質細胞、好酸球(白血球の一種)などの炎症性細胞が腸管の粘膜固有層にまで浸潤。腸粘膜を侵し、腸管が肥厚したり、潰瘍を起こしたりして、嘔吐や下痢が慢性化し、衰弱していく。末期的には腸粘膜からのタンパク喪失が激しくなり、重度の低タンパク血症をおこして腹水がたまってくることもある。
その要因は、食物アレルギー、細菌感染、自己免疫などの複合的なものと考えられている。IBDは、腸管型のリンパ腫と鑑別が付かないことも多く、消化管の組織を採取して病理検査(バイオプシー)し、確定診断するのが通常である。

ウイルス性腸炎としては、毒性の強いパルボウイルスが引き起こす腸炎が良く知られている。
嘔吐や下痢がはげしく、体力のとぼしい幼若動物、老齢動物では、発症後、数日で命を落とすこともある。ウイルスは強力で、自然界で1年ほど生存可能といわれ、感染動物の排泄物や吐物の摂取などによって感染する。





