膀胱炎
膀胱炎について


獣医学の格言に「猫は小さな犬ではない」というのがある。猫は肉食で犬は雑食である。栄養の要求に大きな違いがあり、体の構造やかかりやすい病気にもそれぞれ特徴がある。雄犬は足をあげて前方に排尿するが、雄猫は後方に排尿する。尿のにおいも猫では鼻にツンとくるくらいの刺激があり、室内でのスプレー行動はしばしば大きな問題となる。
健康な猫は水分を必要最低限しか摂らず、排尿の回数も少ない。言いかえると、ひじょうに濃い尿を長時間膀胱にためて生活しているわけで、それが尿に関連したトラブルの根本的な原因となる。これらのトラブルを総称して猫下部尿路疾患(FLUTD)と呼んでいる。

濃い尿の成分中にあるリン酸、アンモニウム、マグネシウムなどは普通イオンの状態で溶けているが、尿の濃さが極限まで濃くなってくると結晶し、膀胱内でキメの細かい硬度の高い砂粒を生じる。それが排尿時に尿道の粘膜を傷つけて血尿となり、時には尿道をつまらせて排尿困難を起こし命にかかわるのである。この結晶を生じる状況には様々なパターンがあり、飲水量が必要最低限を下回るか、マグネシウムなどを多く含むものを摂りすぎるかのいずれかまたは両方に集約される。
前者では、運動不足や肥満、多頭飼いによる猫同士の水飲み場争い、急な冷え込みなどが、また後者では質の悪いフードや質が良くても過食することが原因となる。
つまり、いつも食べすぎで太っていて部屋でゴロゴロして運動もしないとか、多頭飼いで水入れの容器が兼用などは危険な状況といえる。この状況で秋口の冷え込みが来ると一気に飲水量が落ち結晶が生じる。
以前は、秋から冬にかけて季節的に増加していたこの病気、最近では夏場に常時冷房を入れる家庭が増え、一種の冷房病のように発病する猫が増えている。クールビズは省エネだけでなく猫のためでもある。

検査によって前述のような尿石症も認められず、また、犬によく見られるような細菌性膀胱炎も認められないにもかかわらず、頻尿や血尿などの膀胱炎症状を現す場合がある。これらは原因が分からないという意味で特発性の膀胱炎と呼ばれている。
多頭飼いや身体ストレス、猫の尿路の特性が複雑に関連し合い発病に至ると考えられており、通常は無処置でも1週間程度で症状が消失する。





